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ゲームとか本とか。ついでに日常のこと
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小石を蹴りちらすようにして走る。
太陽が傾き始めたのを確認してから、もう数刻は過ぎていた。
思った以上に遠くへ行っていたらしい。
木々の茂る林はすでに薄暗くなっていて、視界はもうおぼつかなかった。
だが、奴にはそれは無意味らしいことを瞬時に悟る。
草をかきわける音は相変わらずで、それどころか俄然早くなったようにすら感じられた。

時折、地面を震えさせる咆哮が響き渡り、その度に恐怖で立ち止まりそうになる。
わたしはすぐに目の前で恐怖に震え、足を止めそうになる子供達に声をかける。
そしてなんとか恐怖を紛らわせ、駆け出す。
やつの姿が背中ごしに見えている気がしてしまう。

なんてことのない、子供の遊びに過ぎなかったはずなのに・・・っ!


白雲の尾根。過去にあった「神の眼の争乱」のときベルクラントと呼ばれる兵器によって変わってしまった地形は今ではそう呼ばれている。消えることのない深く白い霧を漂わせるようになったことからその名がついたらしい。
同時に、変化した環境がそこに生息していた生物の生態系を激変させ、より獰猛に変えていたことを知ったのはもっと後の話だ。

そう・・・最初はほんの遊びのつもりだったらしい。
村で年下の男の子たちがこぞって村から抜け出すのを目撃し、わたしは年上のお姉さんとして連れ戻すためにそっと後を追いかけた。
ほんとはまだどっちも子供だというのに関わらずだ。
ちょっとした好奇心が行動を手伝っていたことは否定できない。
そして思った以上の時間を費やして、やっとそいつらを捕まえた直後に、わたしたちは出会ってはならない生き物に出会ってしまったいた。


気づけばみたことのある風景の場所まで戻っているようだった。
さらに遠くにリーネの明かりも見える。
あと少し・・・!
軽く安堵感を覚えた。


シャアァァァッ!!
矢先、獣の咆哮が耳に刺さる。
いつの間にか眼と鼻の先に奴は迫っている。そう瞬時に悟る。

追いつかれる!
そう思った瞬間、わたしの身体は奴と向き合っていた。
振り向き、初めてやつを認識した瞬間、沸いたのは途方もない恐怖心。
足が身体から切り離されたような感覚。荒げていたはずの息が完全に止まる感覚。
一瞬心臓が止まったものだと思い込んだ。
「逃げて!」
それでもわたしは振り絞るようにして叫んだ。叫んでいた。

殺意に満ちた眼光。荒々しい鼻息。夕闇に映える爪。
それらを備えた黒い巨体が目の前で夕焼け空を遮るようにして立っている。
そして邂逅の間は一瞬だった。
「やつ」はわたしを即座に認識した。直後、大木のような足を鞭のようにしならせ、爪を剝きだしにし、地を這うかのように跳躍してくる。
目の前の世界が黒くなる。光のごとき黒の一閃。

わたしの頭は白紙になっていた。
「避ける」すらできない。「逃げる」すら叶わない。
ただ眼をつむるだけが精一杯だった。同時にただ理解する。

わたしは死ぬ。 

 


・・・そう覚悟した瞬間。
「大丈夫か!?」
猛々しい大声とともに、風がはじけ飛び、鉄の鈍い音が反響する。
知らず濡れきっていた瞳に滲んで映るのは、夕日に映る金色の髪だった。



小説修行とか言っときながら、なんにも掲載してないのはなんたることか!
と思い練習中の小話の冒頭を抜粋で晒してみます。
練習は続けてるんだけど、やっぱ大変です。
ちなみにリムルの話です。大好きというだけあって、妄想はすでに固まってますからね。

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